施主へメール
 年末に最初の図面をもらって、正月明けに庄司氏の事務所にお邪魔して、オリエンテーションができる資料を作っていくことで, 約束をした。2000年問題も我が家にはあまり関係なく、無事年を越しての1月8日、西宮戎のほぼお隣の庄司氏の事務所にお邪魔した。 古い文化住宅のような事務所で、3名ほどで仕事をされていた。よくドラマとかで出てくる設計事務所とはぜんぜんイメージが違う。 しかし、よくよく考えれば豪華な事務所をかまえているということはそれだけ設計料で、もうけてるということ。
 この日はまず、庄司氏が前回案を含め、計5案の簡易図面と簡単な模型を見せていただいた。 最初の3つは、前回の案の展開上にあると思われるが、その後の2つはたぶん、”もう少し大胆にやってもらって良いですよ"との私からのメール の後に発案されたものだと思う。明らかに、テイストが違った。このときは、かなり斬新なアイデアになっていたと思う後半2案に気を引かれた。 私の方からは、こちらの要望と嗜好をまとめた資料と、前回の庄司さんの案から好きな部分を抜き出して、CG化し、施主案として出させていただいた。 お互い現状の思考方向を確認した形で、とりあえず次回ということで事務所を後にした。
 帰ってきてから、いただいた提案図面を家内と検討していたが、どうも家内の様子が今一つである。 最後には、家に対する情熱が消えてしまったのではと感じられるようになった。
 よくよく、心境を聞いてみると、庄司氏自体は好感触だったようだが、出てきた案に対して、どれも気に入らないようである。 おもに、間取りに対して難色を示していた。つまり、5案の中からどれにするか選択しないといけないと思ってたらしい。 デザインの仕事とかになれている人の間では、これから練っていけば良いものができそうかどうかという思考ができるのであるが、 家内のようにモデルハウスのような感覚でこういう提案を見てしまうと、そういう思考に陥ってしまうらしい。
 これでは、イカンということで家内の要望を引き出しつつ、CGモデルで検討を重ねたが、果たして私の考えが実現できるものなのかは、 設計の専門でないものが判断できることではなかった。(私の作った、数々のプロトタイプCG案) で、このままでは夫婦間のすれ違いにもなりかねないことから、以下のような対策を提案し、ようやくなんとか気を持ちなおしてくれたようだ。

  1. 次回の提案を待つのではなく、一度こちら側と庄司氏とで,相談しながら案をCGで作っていく。
  2. もしその段階で,どうしても納得できるものができなければ、庄司氏には一旦降りてもらい”ハウスコンペWEST"にかけ、再度いろいろな案と、コンペでの庄司氏の提出案を見て検討する。
  3. 最悪それでも無理のようなら、計画を白紙に戻し,手付金を放棄して土地の契約を破棄する。
  4. 庄司さんには,現在までの手数料を支払い,清算する。

 しかし、この策はかなり設計者に対して、失礼かつダメージを与えてしまうことは容易に予測できたが、今の状態ではここまでシビアにならざる終えなかった。 とにかく、最悪の状況になるのは避けたかったので、その間もこちらでは思考錯誤する。
 で、最初の庄司氏の案(前ページ参照)の階段を接道に出すという発想から、当方で発展させたすべての階段を接道に出すA'案を庄司氏に提示して、 この形を基本にしてもらうようにお願いすることにした。階段というのは、導線を考えていくと意外と場所を取ってしまう。 できるだけ、居住スペースを階段のために取られないための苦肉の策である。

 次回の打ち合わせで、庄司氏がどこまでこれを実現の方向に採り入れてくれるか、私たちの家づくりが成功するかどうかの第一の関門であった。 さて、庄司氏はどう回答してくれるか.........
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 CGデザイナーの施主というのはそれはそれは恐ろしいものです。
 少なからず相手は同業の様なもの、恥ずかしいものは出せない、と正月も半分ぐらい返上して、模型作りを楽しんでいました(?)。「大胆に・・・」の要望にも応えるべく、せっせと模型を楽しんだ訳です。これぐらいやっときゃ文句でないだろ。てなことで、プレゼン当日を迎えることになりました。これが見事に打ち砕かれてしまうのです。
 時間になり、竹田氏が奥様と一緒に事務所に来られました。奥様にお会いするのは初めてです。竹田氏のおっしゃる通り学生の下宿とも言えそうな木造長屋の事務所に上ってもらって、早速打合せとなりました。まずは要望書を作ってきましたと竹田氏が鞄から取りだしてきたものは。
 留まることを知らない竹田氏の攻勢は、イメージ写真やCGモデリングを含めてA4版計24枚にも及ぶプレゼンだったのです。施主さんの出される単なる要望書というような域をはるかに越えた超大作でした。むしろ本職である設計事務所以上の出来栄えといっても過言ではありません。強烈なカウンターパンチはしかも分かりやすい。技術的な部分では問題が残るとしても充分に実現可能な状態なのです。
 何たること、タジタジになったままコチラも負けじとプレゼンを行うがどうも調子が出ません。(もっと変なのやっときゃよかった、、と内心思う。)お二人の様子はさして悪くもないが、いざ出来た図面を見ていただくと想像するよりも狭く思われたのか、何となく心許ない様子。ともかく、初めての第1ラウンドはゴングが鳴り両者は各コーナーに別れました。

 数日して竹田氏からの例のメールが来ました。(こういうときメールというのは迫力がある。)どうも雲行きが怪しい。目をすぼめながら読み返す。ヤバイヨ、コレ。いやはやなんとも、と言うしかない。添付されたA’案を睨みつけながら、んんん、出来ないことじゃないけど、大変だぞと思いつつ、次回に備えるのでありました。