施主へメール
 そもそも、私(施主)ごとき若造が家など持とうと思ったのは、1998年終りにまったく予定もなかったのだが、広いところに引越ししてしまったことに起因する。 バツイチだった私はとくに再婚の予定もなく、不満に思っていたのは高い割に狭い仕事場だった。なんとなく探しているうちに、まだ建設計画が上がったばかりで賃貸情報が流れる前の新築マンションを紹介される。 ”今のところより、家賃が安くて広くて、新築!”。決めるしかないでしょ!(こうして引越し貧乏が出来上がる)
 その後である。何の因果か再婚が突如決まってしまう。契約したマンションは確かに前のところよりは広いが、今の奥さんである彼女との新居には、少々手狭であった。 もう一つ仕事場を借りようか? でも、そこそこの広さもいるし、家賃も二件分となるとバカにならない。 こんなに払うんだったら、昨今の低金利。そこらのマンションぐらい買えるんじゃないか? いや、今のファミリータイプのマンションは仕事場と併用するには、いささか使い勝手が悪い。 ううん、もしかしたら一戸建てでも可能じゃない? ちょっとでも可能性があるとわかると、じっとしていられない性分である。
カーサウエスト 昔から、建築家の作った家を紹介する某TV番組が好きで、目の保養にと見ていたときの記憶が頭をよぎる。それらの家は、そんなにとんでもなく高くないのである。むしろ、面積比的にいってもそこらの中と半端なマンションより安いのである。 資金のことなんかなにも考えずに、住宅雑誌を買いあさり、ひまがあったらインターネットで検索をかける毎日であった。
 そんななかで、なんとなく買った雑誌、"カーサウエスト"で、初めて建築家”庄司氏”のことを知る。
next
そもそも....
back
建築家のサイト
 アテがあった訳でもなく独立してから大方2年が過ぎていました。親しい友人からの依頼で少しばかり特殊な住宅の増築を手掛け、それがたまたま縁あって「カーサウェスト」と言う関西方面の建築雑誌に発表することができた所でした。外見は控えめで決して人目を引く作品ではありませんが、言ってみればデビュー作?。私自身としては十分に、気に入ったものでした。
 しかし、自分の期待するほどに掲載による反響はなく、世の中厳しいものだと痛感するばかり。悔しいかな、某TV番組の住宅紹介をかかさず見る様になっていました。
 正直この番組で紹介されている住宅に一人ケチをつけつつも、実物を体験することが難しい住宅を映像を通しながら垣間見れるのは、設計者である自分自身とっては良い勉強にもなります。一般の住宅雑誌にせよ、専門の建築雑誌にせよ、写真で見ることが出来るのは、一番見栄えのありそうな所を選んだ一枚二枚。しかも奇麗に飾ってあったり、整理されていたり生活感が分かりにくい。TV映像によって映し出されるのは、連続して感じ取られる空間のつながりであったり、住み手の生活そのものであったりします。写真とは違った、隠しきれなかったところにこそ魅力があり、意外に気を引くものがあったりもします。
 決してTVドラマに出てくる建築家のような華々しい活躍にはほど遠くも、設計者としての自分はどんなことをすべきなのか、何が出来るのかなどと番組を観ながらつい思い巡らし、良き理解者ともなる施主の現れるのを心待ちにする日が続いていました。